一般に歯科矯正と聞くと、歯の表面に金具を装着するものを想像する方が多いと思いますが、それとは別にマウスピース型装置を用いた方法もあります。私が受けている治療はマウスピースを用いたものですが、今回の記事では双方についてまとめてみようと思います。
1.主な特徴
〇マウスピース(アライナー)を用いた治療
透明なマウスピース状の装具(アライナー)を決められた順に、次々新しいものに交換していくことにより歯の位置を動かします。マウスピースは、口腔内石膏模型や最初の歯の状態を専用の機械でスキャンし、どの様に歯を動かすのかをコンピューターで計算することにより作られます。
メリット
痛みがほとんどない
都合に合わせて着脱が可能
歯磨きがしやすい
口腔内が傷つかない
デメリット
装着中は水以外のものを口にできない
装着時間によって治療結果に差が出る(着用目安は20~21時間/日以上)
着脱の手間がやや面倒
適応できる症例が限られている
〇マルチブラケット法
歯の表面にマルチブラケットという器具をひとずつ装着し、その溝にワイヤーを通して、それを調節することにより歯の位置を動かしていきます。矯正治療で最も多く用いられる方法です。調節は月に1〜2回の頻度で矯正歯科を受診し、医師に行ってもらいます。
メリット
歯が動きやすい
症例数が多いため矯正治療として最も確立されている
アライナー治療に比べるとやや安価 ※種類による
デメリット
痛みを感じやすい
自分で着脱することはできない
装具が目立つ
口内炎ができやすい
歯磨きがしにくい
2.費用・詳しい内容
費用はざっくり言うと、マルチブラケット、マウスピースともに100万円前後です。マウスピースついては、歯をどれだけ移動させる必要があるかにより、治療終了までに使用するアライナーの枚数が変わってくるため、治療費も左右されます。マルチブラケットは、その中でもいくつか種類があるため、それによって費用は異なります。マルチブラケットの一番安価なものよりはマウスピースの方が治療費がやや高くなる場合が多いようです。
〇マウスピースのメリットとデメリット
先ほどもメリットとデメリットを挙げましたが、私の体験を基にもう少し詳しい内容を記述します。
メリットとして着脱が可能であると記述しましたが、デメリットでもあると言えます。治療を開始して思っていたより面倒だと感じているのがこの着脱です。
食事の際にはアライナーを外す必要がありますが、歯にぴったり密着しているため慣れるまでは外すのに時間がかかりました。また、家で着脱するのは良いのですが、職場や外出先でやろうとすると、少し人目が気になります。
更に、外出先で着脱する際は衛生面も気になります。御手洗いがあまりきれいでないと、素手を口に突っ込むのは抵抗を感じるものです。
また、自分で着脱できてしまうことにより、日によって装着時間が短くなってしまうことがあります。1日20時間以上装着するためには、食事の時以外は基本的には着けている必要があります。例えば、ちょっとコーヒーを飲みたい、間食を摂りたいとなった時、コーヒーを飲みながら何か作業をしているうちに夕飯の時間が迫ってきて、結局午後はほとんど装着していなかった、ということになるわけです。また、勤務の日であれば、アライナーを外して昼食を摂り、そのまま装着を忘れて仕事に戻ってしまう、ということもあります。
次に、マルチブラケットの種類と特徴を挙げます。
〇歯の表側に装着するもの
メリット
ブラケットの汚れが見えやすく、歯磨きしやすい
表側に装着しているので調整しやすい
デメリット
装具が目立つ
装具が邪魔になり口が閉じにくい、閉じたときに唇が少し盛り上がる
装具が口腔内の粘膜に接触しやすいため口内炎になりやすい
表側に装着するものの中でもいくつか種類があります。
・メタルの装置
銀色の金属製のマルチブラケットを装着します。丈夫で、他のものより安価であるというメリットがありますが、目立ちやすいというデメリットがあります。
・プラスチックやセラミックの装置
透明~乳白色のブラケットを装着します。メタルのものに比べ目立ちにくいというメリットがあります。白いワイヤーを用いれば更に目立たなくなります。しかし、金属に比べ費用は少し高くなる、壊れやすい、装具が黄ばむというデメリットがあります。
〇歯の裏側に装着するもの
歯の裏側にマルチブラケットを装着するため、大きく口を開けない限りは外から殆ど見えない、歯の表面が傷つきにくい、前歯を引っ込めやすいというメリットがあります。一方で、装着に高度な技術が求められるため費用が割高になる、発音しにくいというデメリットがあります。