蟲柱 対 童磨【編曲・一部作曲】

 先日『童磨のテーマ』に引き続き『蟲柱のテーマ』を耳コピしたので「こう来たらやっぱり次はこれしかない!」と思い、『蟲柱対童磨』の曲を作りました。
 この曲は本家様のものを基にして編曲しつつ、一部作曲した部分も垣間見える仕様となっております。

 今回の記事では基にした原曲、作曲した部分、そして原作の場面を想起した部分を照らし合わせて曲の紹介をさせていただこうと思います。

 私個人の解釈が多く含まれます。
 以下、原作のネタバレを含むのでご注意ください。

曲の始まりは童磨のテーマ

 曲の冒頭部分は、劇場で耳にした旋律を基に編曲した童磨のテーマです。
 先日作った『童磨のテーマ』よりも原曲の方がもっと落ち着きがあってゆったりねっとりした雰囲気だなと思い、今回それを反映しました。

 悠然と構える様子を思わせる緩やかなテンポ、二胡、ビオラとコントラバスによる重厚感あるディバイドが交互に奏でる主旋律、そして冒頭部分前半は長調だった旋律が後半には短調に変わります。

 原作にて、しのぶと対峙した童磨は死屍累々と信者が倒れている目の前で屈託なく笑いながら穏やかにしのぶに喋りかけます。
 そんな異様な空気感をこの部分で表しました。

雰囲気は一転、斬りかかるしのぶ

 穏やかに喋る童磨とは対照的にしのぶの心の底には沸々と怒りが湧き上がり、そして遂に爆発。鋭い突き技で斬りかかり雰囲気が一転します。

 それを表現すべく動画の0:46から始まる間奏部分からテンポを一気に上げ、激しい曲調にしました。
 この部分はその後に続く蟲柱のテーマへと自然につながるよう作曲した部分となります。

蟲柱のテーマ、それに続く童磨のテーマ

 0:59から流れる蟲柱のテーマは、原曲を基に4拍子にアレンジしたものです。
 今回の曲では4拍子にアレンジしましたが、元々の原曲は3拍子です。
 3拍子は円舞のような滑らかさを感じる一方、4拍子は疾走感や迫力を感じやすいと思いこのようにしました。

 また、主旋律には原曲にもあるコーラスに加え、美しく突き抜けた印象を与える高いフルートの音色を重ねました。
 そして1:13からは再び童磨のテーマが流れます。さらにその後1:26からはしのぶを想起させる旋律を作曲して入れました。
 
 このようにそれぞれを象徴する旋律を交互に入れることで、双方の技が行き交う様子を表現しました。

それぞれを象徴する旋律の比重

 これは今回の曲作りでかなり悩んだポイントです。

 鬼滅の戦闘シーンの曲といえば、煉獄さんと猗窩座の曲が有名ですよね!
 そちらの曲や原作の場面も参考にしつつ、今回の曲ではしのぶのテーマと童磨のテーマをどのような比重にするかを考えました。

 ここで少し、煉獄さんと猗窩座の曲の話をしようと思います。
 煉獄さんと猗窩座の戦闘シーンでは互いに激しく技の連撃・応酬が続き、その攻撃の勢いは互角であるようにも見えます。
 曲にもそれが表れていて、一番盛り上がる部分では猗窩座のテーマと煉獄さんのテーマが同じくらいの割合で入れ替わり立ち替わり聴こえてます。

 一方しのぶと童磨の場合、全力で斬りかかり何度も毒を打ち込むしのぶに対し童磨はわざとしのぶの毒を受け、さらには余裕綽々でそれを楽しんでいるように見えます。
 そして無情にも、童磨の余裕さえ崩せないまましのぶは致命傷を負ってしまうことに……。

 そのようなパワーバランスを考慮し、童磨を象徴する旋律により迫力を持たせ、聴いている者が圧倒されるような雰囲気になるよう曲に表現しました。

煌びやかに華開く童磨の旋律

 1:41からは童磨を想起させる華やかで壮麗な旋律を作曲して用いました。

 メインとなるのは二胡の音、そして打楽器を含むほぼ全ての楽器による音圧。1:51の辺りにしのぶを象徴するようなフルートが響きますが、それを覆い尽くす程の勢いに仕上げました。

 童磨が繰り出す美しくも残酷な氷の蓮が万華鏡のように華開き、そこに虹を映し出す…。 見る者が吸い込まれそうなそんな情景を思い描き、この部分に込めました。

 原作におけるしのぶ対童磨戦では思いの外、それぞれの回想シーンの割合が多めでした。そのためこのように戦闘シーンの想像を膨らませて曲に落とし込んだ部分も多くなっています。

しのぶ渾身の最期の技

 2:08からは再びしのぶの旋律が始まります。
 致命傷を負い心が折れそうになりながらも心の中に姉の声を聞き、最期の力を振り絞るしのぶ。そんなしのぶの頭の中を巡る想い、最期の技を表現したくてこの部分を作りました。

 この辺りは原曲における前奏を基に編曲した部分になります。
 今回の曲において、前半では音量を抑え高音域の音も少なくし、後半からは音量を徐々に上げ楽器の数も増やすことで、終わりに向かって疾走感が出るようにしました。

 また、しのぶの旋律の最後に空気を切り裂くような迫力を演出したくて、2:34の一瞬に強いアクセントを用いました。

 原曲の柔らかで澄んだ空気感を残しつつ、張り詰めた雰囲気や強い覚悟を表すことを意識してこの部分を編曲しました。

結びは童磨の旋律

 2:35には瞬時にテンポが切り替わり、コントラバスの低い音だけが不気味に残ります。
 そしてそれに続くのは、静寂の中で響きわたる童磨の旋律…。

 曲の冒頭と同じく原曲を基にして編曲した部分ですが、結びの部分ではより幻怪な雰囲気にすることを意識しました。

 より緩やかなテンポに設定し、主旋律以外の音の動きは少なくすることで不気味な静けさを。そして主旋律以外は低い音と高い音だけを残すことで、どこか異様で恐ろし気な雰囲気を表現しました。

 しのぶの行く末と童磨が浮かべる不敵な表情を思い描きながら編曲し、この曲の結びとしました。

終わりに

 元々童磨・しのぶの二人が大好きなので、原作の場面を反芻しながら曲に落とし込んでいくという作業を大いに楽むことができました。
 また、作曲の経験があまりないままに今回の曲に取り掛かりましたが、原曲から着想を得つつ、私にしては及第点の仕上がりになったのではないかと思っております(自分が作った中では特に1:41から流れる童磨の旋律がお気に入りです!)。

 今回の曲は原曲に倣う耳コピとは違って自分の解釈や想像で作り上げた部分も多くなっています。
 そのため皆さんにどの程度受け入れていただけるかは分かりませんが一人でも多くの方に、あのしのぶ対童磨戦を思い起こして楽しんでいただければ幸いです。

 長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!

迫力ある素敵なイラストは はみこさん(@HakogardenMiko)より許諾を頂き、お借りしました。
快く承諾いただき、ありがとうございました!

 


 

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